かずのひとりごと

日本について、世の中について、私の生き方について、考えたことを書きます。

「寄席文字」を書いてもらった!その魅力を語る

▼用事があって、電車で1時間半かけて町へ。丁度、終点の駅の近くで寄席が始まるタイミングだったので楽しんでいくことにした。それも運のいいことに、当日券の座席を選ぼうとしたところ、前から2番目、それもほぼ真ん中の席がちょうどキャンセルで空いたところだった。

▼本日の寄席の噺は、総じて自分にとって「まずまず」であった。どうしても出演者によって、あるいはネタによって当たり外れがあるのが落語の悩ましいところでもあり、面白いところでもある。

 つくづく落語は、噺家の経験と力量が如実に現れると感じる。そして、一つとして以前と同じ噺を聞くということがない。演目が同じでも、演者によって全く違った噺になる。だから、自分にとっては外れであったとしても、それなりの新しい発見を得ることはできる。噺そのものだけでなく、噺家特有の個性を楽しむことができるのも落語の魅力だろう。

▼今日の私にとってのハイライトは「色物」と呼ばれる、寄席を彩るパフォーマンスだった。毎回様々な芸人が楽しませてくれるのだが、今回は寄席文字の本家、橘流の書家が登場した。

 寄席文字というのは、皆さん見れば「ああ、わかるわかる」という、あの笑点でもお馴染みのフォントである。これが、改めてじっくり見てみると実に味わい深い趣がある。皆が一斉に注目する中、スイ、スイと色紙に書き上げられ、披露されるたびに会場から「おおーっ」という感嘆の声が上がる。色紙は挙手した人にプレゼントされる。漢字一文字が、書体が変わるだけでこれだけ新鮮な魅力を放つなんて。

 リクエスト募集で、あちらこちらから「ハイ!ハイ!」と威勢よく手が挙がる。さて、せっかくだから私もリクエストしてみようか。ただ、一番よい漢字を一文字だけ決めるとなると、なかなか考えてしまう。そうこうしているうちに、次々と見事な文字が書き上げられていく。

 「よし、行こう」

 最前列の女性、中ほどの男性、後ろの女性ときて、4回目のリクエスト募集で、ジャストと思うタイミングで挙手した。そして、いの一番に書家と目が合った。間近の席だったことが幸いした。

▼今までずっとこういう場面は遠慮してきていたのだが、私は変わろうと決めたのだ。もっと自分を表に出していく人生にしようと一念発起して、このブログも始めたのだ。

 私が選んだ漢字は「志」だった。私の好きな言葉は「心」。でもこれからはその心を内に秘めているだけでなく、目標に向かう行動に反映させていこうという思いを込めて。志がない人間だからこそ志が欲しかった。

▼作品は、自分にとってはこれ以上ないほどの出来映えだった。この色紙を宝物にして、頑張っていけそうな気がする。漢字一文字の色紙で、こんなに感じ入ってしまうなんて。大丈夫か、疲れてるんじゃないのか自分。いやいや、いくつになってもこういう純情は大事にしよう。

●書の魅力を改めて感じた一日でした。今日もお読みいただき、ありがとうございました。