かずのひとりごと

日本について、世の中について、私の生き方について、考えたことを書きます。

日本の芸術が衰退? 百貨店がちょっと寂しかった話。

▼近くの百貨店で、「文化勲章作家版画展」が開催されているとのことで足を運んでみた。無機質な灰色アスファルトの都会で生活していると、とかく我々人間は偉大なる自然に生かされているという事実を忘れてしまいがちである。この世界は美しい。至るところに美を見出すことができる。人工物ばかりに囲まれ、やれデフレだ、やれ時間外労働だと心の余裕を失えば、美を感じ取る感性がどんどん鈍っていき、心が荒んでしまいかねない。私は美しい画、特に日本画を鑑賞する時、心が故郷に帰れるような気がするのだ。

▼ところが本当に寂しいことに、休日だというのに、お客さんが少ない(今日に限ったことではないが…)。帰り際、気づけば私一人になってしまっていた。これほど豪華な作家たちの素晴らしい作品が展示されているというのに…。

 価値観・娯楽の多様化が言われて久しいが、雑多になりすぎて、美しいものとは何かの基準が曖昧になっているのではなかろうか。これは芸術分野に限ったことではなく、ありとあらゆる分野において、人々が情報過多に翻弄されているように見える。

 何を尊ぶかは人それぞれ違っていい。ただ、文化勲章が与えられる美しさにはある種の普遍性がある。日々の生活において、その美に立ち返る精神を持つ人が減少してきているのではないか。束の間の鑑賞を楽しみつつ、そんな懸念も抱いた版画展であった。